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想いと感覚に文字も指も追いつかない時がある。真っ暗な部屋の中で沸いてきた感覚を必死に文字に変換しようとする脳みそが、終端速度に達したかのように先に進まなくなる。一度にいろんなことがつながりすぎて、一つも取りこぼしたくないのに、アウトプットが間に合わなくて、瞬く間にそこにあった想いが消えていく。凝固する前に気化していってしまうかのようだと思った。
自分は東京で育っていて、夜になると家の窓からは遠いビルのてっぺんにチカチカと赤い光がいくつも瞬いているのが見える。
悲しくてしょうがないときも、うれしくてしょうがないときも、明日が待ちきれないときも、明日がきてほしくないときも、この赤いチカチカをみながら過ごしてきた。遠くに旅にでて、家に戻ってくるとこの光をみて、ああ家に帰ってきたんだと思うことがあるくらいに自分の中にこの光の存在はこびりついている。
そしてこの光に見入っているといつも思う。
このビルの下には、いまうれしくてしょうがない人も、誰かを殺したくてしょうがない人も、死にたい人も生きたい人もいて、誰かに裏切られた人も、誰の温かさに涙を流している人もいるかもしれない。
なんで世間は馬鹿ばっかりなんだと失望する人がいるかと思えば、なんて世界は希望に満ちあふれているんだろうと思う人いるだろう。ほかにどんな人がいるだろうか、自分の想像力の限界まで挑戦したくなるくらいに、いろんな人に想いを巡らせる。きっと自分の想像しうるすべての人が、間違いなくこの空の下にいるんだろうと思う。
でもそのどの人にも、数時間もすれば、すべての想いや願いを断ち切るかのように朝日が昇り、今日は何事もなかったかのように明日になる。
夜明けは希望か絶望か。
もうそんな問いには捕まらない。
今は曇りなく夜明けは希望であり絶望であると言える。
POSTED @ 2010.11.14 |
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