Title: ますたーすん。
どこの場所にいってもおもしろい人とか、気になる人とかいうのは存在するもんで、そんで集団生活が長くなってくると、そういう人にあだ名とかつけちゃって、そういう人がなにかおもしろいことをするたびに、仲間内でいじり倒す、というのが、結構楽しみだったりするわけで。
今回たくさんのあだ名をつけられた人たちがいんるけど、例えば、
モヒンダー(HEROESのキャラでインド人だからという理由でつけられた)とか、これまた、サイラー(これもHEROESのキャラ、これはそっくりのアメリカ人)とか、タンクトップ(太極拳の時に動きのおかしいいつもタンクトップのインドのおじさん)とか、ひきこもり(これは完全にイメージだけどいつもマイケルジャクソンとアニメの話しかしないアメリカ人)とか、ケンヂ(謎の日本人)とかほかにも加藤大(タイのジャーナリスト)とか、たくさんのあだ名を勝手に自分でつけていたわけですが、そんな中にずば抜けて異彩を放つ1人の男の人がいました。
その人が、マスタースンです。
マスタースンは福建省出身の中国人で、いまはタイに住んでいる、タイ国籍の人で、見た目は、まさにベストキッドにでてくるミヤギみたいな風貌です。
そして毎朝行われる、太極拳の時間(ながいと1時間)を行うときの先生です。そんでいつもフラフラと施設の中をあるいては、独特のオーラを放ちながら笑顔を振りまいているわけです。
まずなにが面白いって、太極拳のポーズがおかしい。
これギャグじゃないのか!これ真剣にやって大丈夫なのか!というようなポーズがでてくる。通称江頭ポーズとか、タイガーポーズや、モンキーポーズなど。
はじめは真剣にやっていたタイの僧侶も苦笑いです。しかし西洋の方々はその神秘的なアジアの仙人みたいなマスタースンのいうことを疑う余地もなく、真面目な顔で、はぁぁぁぁぁぁ~とかやってます。それをみて私日本のお坊さんは苦笑いです。
しかも長いんですよ。太極拳。
ご飯の時間もそんなにないのに、時間ぎりぎりまで太極拳をやるもんで、身支度もままならないまま、会議の時間になってしまったりするわけです。
あまりに長いけど、最後に太陽をなんか、全身に浴びるポーズみたいのだけは、どうしてもマスタースンの中で外せないみたいなんで、太陽がちょうど中庭に差し掛かる時間まで、なんとかねばるんですよ。そんで最後に太陽を浴びるというか、太陽光を全身に塗りたくるようなポーズをするわけです。
そして最後になぜか絶叫するわけです。
いやいや絶叫ですよ。
うわああああああ~
とかいって。
嘘だと思うでしょう。
これホントです。
太陽を身体に塗りたくって絶叫するんです。
まじで。
申し訳ないけど、初めにそれみたとき爆笑しました。
でも爆笑してるの自分だけなのに、ちょっとひきました。
そんで満足げに、自分だけかっこいいポーズを決めて、FINISHとかいうんですけど、みんなつっこむのも忘れてあわててご飯ですよ。つっこむ余裕とかないの。
みんなあわてて身支度を整えて、バタバタと会議にいくわけです。
そんで会議場にはいって、バタバタしてる頃に、顔を洗ったのか、シャワーでも浴びたのか、妙にさっぱりしたマスタースンは、ご飯を食べ始めるわけです。
おいおいおい。
とか思うけど、マスタースンは涼しげな顔でがんばってね!といわんばかりの笑顔で手を振ります。だれもおいおかしいだろ!とか言わないのはみんながお坊さんだったからだと思います。
そして何日かして、夜に歩いていると、向こうの方に人混みができていました。なにをしてるんだろうと思って、のぞいてみるとそこには、口の周りに針をさされてう~う~いってる加藤大(タイ人ジャーナリストの女性)がいるではないですか。
口の周りに針だらけ、例えるならば・・・例えば見つかりませんが。
なんじゃこりゃ。と思うとその視線の先にいたのがマスタースンです。手には針を持っています。
なにをしてるんだと聞くと、彼女(加藤大)の口の周りが荒れていたから、針を刺したんだ。といいます。
いや意味わかんないでしょ。
針の前にメンタムでもぬればいじゃん。とかいうのもめんどくさいので、おおGOOD!とかいってその場をやり過ごして、自分の部屋に入りました。
なんとそしたらそこに同室の浄土宗のお坊さんが床にあおむけで倒れています、そして、身体には無数の針が・・・
なんか調子が悪いといったら、このざまだぜ・・・うう・・・おしっこしたい・・・といっています。
もうこうなると手の着けようがありません、しかも彼はそのあとうつぶせにされて、頭にまで針をぶすぶすさされています。いやこれまじ大丈夫なのか・・・という心配をよそに、マスタースンは次々と針を刺していきます。
なにも聞いてないのに、うわごとのように、ノープロブレムを連発するのが、逆に不安を駆り立てます。
しかし次の日に彼はピンピンして、いやぁ元気になったと言ってたので腕は確かだったんでしょう。
そして、まだ彼の話は続きます。
最終日の近くになって、本の販売や、各国の民芸品などの販売コーナーがつくられていました、そこを何気なしにのぞいていると、なんと、完全に手作り感満載のマスタースン太極拳DVDがあるではないですか!
おいおいおい、販売しちゃうのかよ!あの太極拳を・・・大丈夫かあれ、中国から訴えられたりしないだろうか、と心配しながらも、毎日太極拳してた自分としては、これは買うしかないとおもって200Bという高値にも関わらず購入をしました。
そしてそのDVDを部屋に置きに行こうとしたら、むこうからマスタースンがあるいてきます。
そこで買ったアピールをしてやろうとおもって、おおい!マスター!DVD買ったぜ!というと、ものすごい笑顔で、おお!サンキューサンキュー握手をして、次の瞬間に、自分のバックから、なにかを取り出すとこういいました。
おれのお経のCDもあるんだけど買わないか?
おれが僧侶じゃなければ、太極拳でぶっとばしてるとこでした。
そんなお茶目な彼ですが。
ほんとうに特別なオーラを身にまとっているようで、すっとんきょで、怪しげな雰囲気まるだしなのに、どこか憎めない、無邪気な笑顔はどこにいっても人気者で、彼の周りには、いつもだれかがいるようでした。
最後に日本に帰る前に、マスターがこれ食べるか?
といって、笹の葉のようなものにくるまれた、小さな食べ物をくれました。これは何だと聞いたら、チューインガムみたいなもんだといっています。
きっと彼なりには明日帰ってしまう自分への選別のつもりなのかもしれません、大事そうにしているその、つつまれたガムを1つ貰って、固い握手をかわしました。
そして、かれは笑顔で去っていき、自分はなんのためらいもなくそのガムを口の中にほうりこみました。
タイにきて、はじめて、本気でえずきました。
うえええええ。
ぐぇぇぇぇ
涙目になりながら、ゴミ箱にそのチューンガムを吐きました。
でも自分はやさしいので、決してマスタースンには悟られないように、遠くのゴミ箱までこらえながら、走っていって吐きました。
いまでもガムを吐いたことは彼は知りません。
そんなマスタースンとの思い出です。
彼の友達がチェンマイでゲストハウスをやっているそうです、彼のよく顔をだすそうです。もしチェンマイにお越しの際はぜひ、お立ち寄りください。
以上マスタースンとの思い出でした。
POSTED @ 2009.11.19 |
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