Title: 一期一会。
最近、一期一会、その瞬間というのはその瞬間しかない。ということは、言葉にすると当たり前のようだけど、その意味がストンと落ちてきた気がする。
人間関係もそう。友達とか恋人とか家族とか、そういうくくりで囲っちゃうと公約数ができちゃうけど、でもほんとはそうじゃなくて、その瞬間の目の前にいる人との時間はその瞬間にしかないもので。
いうなれば、同じ言葉や、同じ行動が、必ずしも同じ影響を及ぼすことはないという事実でもあるんだと思う。
とか考えてたら、ある話を思い出した。
ある茶人が、とある大名を茶席に招いたという。
その大名は、堅物で知られていて、その日も大きな調停の真っ最中で、ぴりぴりとした状況の中での茶席だったという。
案の定、しかめ面をして怖い顔でやってくる大名。しかし、なんとこの茶人、茶室の前に大きな落とし穴を掘っていたわけです。
その落とし穴には、たっぷり泥水を入れて。
そして、見事に大名は落とし穴に落ちるわけです。
そして、それを助け上げた茶人は、ちょうど入り頃のお湯を沸かしてあるので、すぐに風呂に入れという。
大名は怒りを抑えながらも、しぶしぶ風呂に入り、さっぱりと風呂か上がると、茶人はにこにこしながら、大名の前にぬる茶を差し出したという。
大名はその一杯を一気に飲み干すとと大きなため息をついて、大笑いしたという。
そこで、大名の心は一気にほどけて、こんなに大笑いをしたのは久しぶりだ。といったという。
難しい調停の合間に、いろんなストレスにさらされていたであろう大名の状況と、その人の人柄(ここまでやっても大丈夫だろう)とか、その人のことをよく観察してなければ決して成功しない茶席だったんだろうと思う。
ある意味そこまで相手を思わなければできない、最高のおもてなしなんだろうと思う。
もちろん、そこにはもともとそこにある信頼関係も作用しているわけで。
これを誰かが真似しても成功するはずない。
一期一会だから。
そりゃそうでしょうよ。と頭ではわかるけど、この方法を成功論として、あたかもどこでも通用するんじゃないかと思ってしまうのが人間なんだと思うのです。
一期一会。
この一瞬は、この一瞬にしかないし、あくまでこの一瞬でしかない。受け取りようによれば、常にチャンスはあふれていると思うのです。
POSTED @ 2010.09.10 |
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