Title: 霜降
朝、顔を洗う水の温度があからさまに冷たくなって、家を出ると息が白くなってみて、ああ秋から冬になりはじめたなと思う。
あれだけ寒いのはいやだ、夏がいい夏がいいといっていたものの、今年は寒くなってみても全然いやじゃない。なぜかはわからない。
このなぜかはわからないということが人生の楽しみの一つなんだなと最近しみじみと感じる。世の中には分別も区別もできないことっていうのがたくさんある。それに無理に答えをつけるよりもそのままでいるほうがずっと魅力的なことがたくさんある。
わからないものをわかろうとすると苦しくなることがある。わからないものはわからない。それでいいじゃんってことで。
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さて先に予定をいれるのが苦手なのに、どうしてもこの時期には先に先に予定が埋まっていく。先に予定を入れるのが苦手だというのは最近気づいたことなんだけど一種の職業病らしい。
お寺というところに育つと、自分の予定よりも優先しなきゃならないことがたくさんあるわけで、何か月も前から家族旅行を予定していてもその日にお通夜が入ればキャンセルですよ。そんなところで育つと、やりたいことのために時間をとるという習慣がなく。あいてる時間にあわせてしたいことをする。という世間とは少しずれた時間の感覚になるわけで、好んでそういう予定の立て方をしなくなるんです。
でもたいていの事態には対応できるように心の準備をしておく習慣ができるとたいていのことには動じなくなるというメリットもあるみたいです。
なので絶対にずらせない予定や楽しみな予定が先にあると、ちょっと落ち着かないんですよ。心の中でたのむからその日だけは誰も死なないでくださいと願うこともあります。
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こう寒いとおいしいのが焼き芋です。
突如石焼き芋がしたくなって、ネットでぐぐりまくったあげく。ドラム缶を半分に切ったものを用意して、石を150キロほど買ってきて。朝から薪割りして、がんがん火を焚いて石を焼いて、すすだらけになり、煙に燻されながらも5時間くらいかけて焼き芋つくりました。
はっきりいって。
かなりうまいです。あの甘さは驚異的です。あんこみたいです。
ただ。これはものすごい作業です。疲労困憊です。でも沢庵和尚もいっていたように、最近おいしいものを食べるというにはシチュエーションというものがものすごく重要だということをまざまざと感じます。
買ってきてもきっとおんなじ味だと思うけど、ここまで真剣に手間をかけるいうことでそこに目に見えない旨味みたいなものがプラスされるわけですよ。
ただおならは止まりませんけど。
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本当に大切なことを理解しようとするときは言葉や知識や経験にいかに頼らないで物事をみるかということが大切だと思う。それがなにかはわからないけどそのなにかがその人自身のような気がする。
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しかしもう今年も残すところあと2か月。今年の目標はなんだったかと足元を確認。
POSTED @ 2008.10.30 |
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