• PHOTO最終更新日2010年10月11日



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Title: 江國香織の書く文章


「赤い長靴」を読み終わった。

江国香織の書く文章は本当にすごいと思う。
すごいと書くと安っぽいが。ほんとにすごい。

心の中にある小さなわだかまりの様な感情とか
なにげない心境の変化を
きっぱりと活字できるところがすごい。
曖昧で抽象的なものがはっきり輪郭を示していて
なおかつそれがどこにも違和感を感じさせずしっくりくる。

逍三や日和子を通して俺の中にある感情が
浮き彫りにされてこういうことなんだよって
言われたような気になる。

リアリティがちりばめられいるフィクション。
すごいリアリティがあるんだけどノンフィクションはありえない
フィクションでしか表現のできない間違いないリアル感

中でもこの一文

結局のところ言語は人格なのだし、
人格にない言葉を無理に発音したところで
それは音にすぎない。

この一文だけで感情がしっくりと了解できる。
間違いない。

きっと自己分析能力にすごく長けた人なんだと思う。
自分の内面や感情の変化を
つぶさに感じることのできる感性を持っていると思う。

この文章をどうやって書いたのか見当もつかない。

きっとおれには絶対にあの文章はかけない。
同じようなモノを書き始めたら
途中で自分の言いたいことと活字にずれが生じて
それを強引にねじ伏せようとしたり
無理矢理に活字をこねくり回して
収集のつかない状態になると思う。

きっともやもやしすぎて耐えられなくなると思う。

なんか3メートル四方のでっかい牛乳パズルを
ひたすら組み立てて行くような
途方もない作業のように感じる。

それともう一つ江国香織の使う日本語は本当にきれいだと思う。

たまに読めない漢字が出てくるのがくやしい。
まだまだ勉強不足だ。

江国香織の文章はきっとこれからいろんな経験や体験
人生のなかで誰もが通る行事をこなしていくと
さらにおもしろくなっていくような気がする。

色々な節目で感じた気持ちとか
あの時のもやもやはこういう事だったのかなって
体験して初めてしっくりくる部類の文章で
きっと先読みできない文章だなと思う。

江國香織は天才だと思う。

POSTED @ 2005.07.03 | Comment (0) | Trackback (0)

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  • 自己紹介:1980年1月9日生まれ。どこからを趣味と呼んでいいのかは模索中。好奇心は旺盛。