• PHOTO最終更新日2010年10月11日



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Title: 夏草や強者が夢の跡

昨日はひさびさに電車で仕事に行ったんだけど電車をまつ駅のホームで座ってるおじさんが朝ご飯に食べているパンを鳩に投げ始めた。

すると3匹の鳩が集まってきてそこに落ちているパンをついばみ始めた。とそこで2匹の鳩がパンを巡って喧嘩を始めた。

正直こんなにはげしい鳩の喧嘩はそうそうみれないんじゃないかというくらいの激しい攻防。

鳩の喧嘩をこんなに間近でみたのは初めてなんだけど、鳩って喧嘩するとき羽で相手のことたたくみたいです。

激しい音を立てながら羽を広げてばしばし殴り合う鳩。

その騒ぎを聞きつけ駅のホームではそこだけ丸く場所が空けられてまるでタイの裏路地で行われるムエタイの試合ばりの観客があつまってきた。

餌をあげてたおっさんがアリーナ席。

ちなみにおれもアリーナ席。

そして通学途中の中学生男子や高校生。

そしてサラリーマン。

「お~」

激しい攻防といい攻撃が決まるたびに小さな声でそれぞれが歓声を上げる。

そこに鳩を中心に妙な一体感が生まれた。

後楽園ホールさながらの駅のホームには気づくとたくさんの人垣となんとこれ車掌さんまで横目でみていた。

ちなみに観客はこれ見事なぐらい全員男。

OLさん達は横目でちらっとみるもののそのリングの横をコツコツと素通りする。

そんな光景を見ながらああ

ボクシングしかり。

闘犬しかり。

ハブとマングースの戦いしかり。

男というのは本来の闘争本能というか、そういうもがのしっかりDNAに根付いてるんだろうなぁと実感。

この何気ない毎日の中で突如として現れたこのコロシアムで繰り広げられる争いがいまここにいる男子全員の闘争本能を揺さぶりまくったのはそれぞれが思わず漏らしてしまってる「おお~」っていう声にすべてあらわれていたと思う。

そんな戦いの終わりはどうなったかというと。

戦いも終盤戦を迎え一匹が完全に押され始め、開場のボルテージも最高潮に上り詰めようとしていたまさにその瞬間。

なんとしばらく観客席の前でみてた変な親父が突如としてリングに乱入レフリーストップさながらの勢いで両者の間に割って入り足で蹴散らしたのだ。

そして2匹の鳩はリングアウト。

そこにいた観客全員まちがいなく心の中でこういった。

「おいおいおいこらこらおっさん!なにしてんの!!!」

あっけにとられているおれの横でアリーナでその戦いを見ていた大会主催者である餌をあげてたおっさんはおもわず大きな音で舌打ちをした。

そんな微妙な終わり方をさせられた不完全燃焼な戦い。

あっというまに倒された曙の試合を見た後のような。

お腹がプヨプヨになったホーストがあっというまにKOされた時のような。

亀田の相手が逃げ回って最後は自分から倒れてしまったような。

おいおいおいおいなんなんだ。
この胸のもやもやをどうしてくれる。

そこにいた全員の視線はその余計なことをした親父に注がれたのだがその親父は我関せず。

高笑いにもにた声を響かせホームの先に消えていった。

その親父がさったあとに残されたのはリングに錯乱する羽毛と争いの目的であった錯乱したパンくず。

そして突然の出来事に魂の抜けたようななにか腑に落ちないといったような顔をした男達。

そして哀愁すらただよう大会主催者のおっさん。

そこに鳴り響くまもなく電車が参りますのアナウンス。

ちりぢりにさっていく観客。

ああなんだろうこの祭りの後のようなもの悲しさは・・・

まさに

夏草や強者が夢の跡・・・

そしてホームにはいってきた電車に乗り込むと全然関係ないところから飛んできた全く関係ない鳩がその残されたパンくずをくわえると真っ青に晴れた空に飛んでいった。

ああ無常。

朝からちょっと複雑な気持ちになった。

POSTED @ 2007.05.12 | Comment (0) | Trackback (0)

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  • 自己紹介:1980年1月9日生まれ。どこからを趣味と呼んでいいのかは模索中。好奇心は旺盛。