Title: 愛おしいと想えること
昔から算数とか数学とか。数字はだいっきらいだった。
答えは必ずしも一つじゃない方がいい。物事はなんでも抽象的な方がおもしろい。なんてもっともらしいことを言ってみたりするけど。
ただ単に答えが出ないからいらいらするのがイヤなだけだし、なによりも強制させられてドリルをこなす段階でおれは数字を嫌いになった。正直いまだに九九は全部いえるかどうか微妙だし足し算にだって指を使うこともある。それでもりっぱに25年間生きてこれたと胸を張ってる。
でも昔から数字に関わる物語は大好きだ。0を作ったインドの数学者の話も、フェルマーの定理を解いた人はいないとか。懸賞金付きの数学の問題があるとか。相対性理論だってすごく興味深い。常々日記に書く熱伝導の法則だって数式だ。
そういう話ならいくらきいてても飽きない。
先日「博士の愛した数式」を読み終えた。初めは数式って書いてあるだけで吐き気がしそうだし倦厭してたんだけど読み始めたら一気に読み終わった。久々に読み終えたくないと思える本だった。
たかが数字、されど数字。
この本の中で数字はとても貴重な意味を持つ。しかしこれは単に数式や数字に纏わる話ではなくて、数字を通して何かを愛おしいと思うことのすばらしさに触れることができる作品だと思った。好きとか大好きじゃなくて、愛おしいっていう感情が前編にちりばめられている。
博士の数字に対する姿勢。√への愛情。親子のつながり。私の博士を想う気持ち。未亡人の博士を想う気持ち。
すべてに愛おしい。
なにかを心から愛おしいと思う心。その対象がなんであれ、そういう心を持つことが生きていくことでどんなに有意義で、深い意味を持ち、人生に華やかな彩りを添えてくれるんだろうって素直に思える。そして同時に「愛おしい」っていう感情はとても静かで暖かいものなんだな感じることができる。
この本に出てくる博士のような先生がいたらおれはもっと数字が好きになっていたと思う。
そして無条件に愛おしいと思えるなにかに出会えたらきっと人生は最高なんだと思った。
POSTED @ 2005.10.10 |
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