Title: 湯呑
お寺で長いこと使っていた湯呑にひびが入った。
お茶をいれるとぽたりぽたりと雫が落ちてくる。
さてどうしようかと思ったんだけど、湯呑を修復してくれるところを見つけたので直して使うことにした。
この湯呑、なんの変哲もないその辺で売ってる何百円かの湯呑。みんなは買うほうが安いし、そんな大事なものでもないでしょうというけど。
物の価値は値段じゃないと思うのです。
なんでもそうなんだけど、価値はついてるものじゃなくて、つけていくものだとも思うのです。
初めからついてる価値なんてものは本当は大したものじゃなくて、そこに乗ってるプラスαで本当の意味での価値が決まると思うのです。
本当の意味の価値観は公約数の中ではなくて、自分の中にだけあるものだと思うのです。
何百円かの湯呑でも、直し直し何十年も使って、もしかして自分がおじいちゃんになってもこの湯呑を使ってたとしたら、ほかには変えようのない大事なもので、箱に入った国宝なんかよりも価値があると思うんだ。
30代になってから、いろんな折にそんなことを思う。
20代の時には思いもしなかったし、価値のあるものをほしいと思ったけど、最近は価値というのは自分で見出して乗せていくことであり、そうやって何かを大切にしていくことが幸せなことであり、そのほうが楽しいんだと思うようになった。
湯呑に対してだけじゃない。
これがものでも人でも、なんでも同じだと思う。
昔の人が「もったいない」といってものを大事にするのは、幸せの本質を肌でわかっていたからなのかもしれないと思った。
POSTED @ 2010.10.07 |
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