• PHOTO最終更新日2010年10月11日



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Title: 夏におきた事件の話 後書き
2005.06.30


今回久々にまとまった量の文章を書いた。

やっぱり書くのはおもしろい。

>>つづく と書いた以上は間を開けたくないし
みんなが興味をひかれてるうちに書き終わりたかったから
俺にしてはだいぶ速いペースで書ききった。

当時のことを久々に思い返してみて
すごく懐かしくなった。
思わずF君やA君に電話をしたり
当時のメモを引っ張り出してきて読み返したり。

思い出せば出すほど
あの頃に思ってたことや考えてたことは
いまのおれの中枢にしっかり根付いてるなぁと感じた。

今回これを書くにあたって
当時のメモを引っ張り出してきたんだけど
その中で思わずこんなこと
書いてたんだって思った一文がある。

いま俺の中にあるのは

絶望に近い希望と
希望に近い絶望だ

という一文だ。

この時の感性のうち何%が今の俺の中に残ってるんだろうか・・・・

あの頃はつねに何かが欠けていて何かが足りなかった。

いろんなことに不条理を感じていたし
いろんなことに矛盾を感じていた。

今思えば感じていたというよりも
ここにきてやっと生きるということの
不条理や矛盾とかそういうモノが見え始めたんだと思う。

自分で生きると言うことを意識しはじめて
生きると言うことを考え始めた頃で
そこで初めて見えてきたグレーな部分にとまどい
それを認めたくなかったんだと思う。
その結果がいつも心の中に何かが足りない
錯覚を生み出していたんだと思う。

あの頃はどこかが病的に欠落していたと思う。
満たされることを知らなかった。

食べても食べてもお腹が一杯にならなくて
眠っても眠ってもまだ眠りたいと思うように

こころが満たされることはなかったように感じる。

だからいつも目新しいモノや刺激を求めてて
自分がどこまでできるのか試したり
そんなことばかりしていた気がする。

今回の話もそんな中から生まれた一つのエピソードだ。

あの頃の書いた文章の中に
こんな一文もあった。

幸せは自分との戦いの終わりを意味する。
幸せという響きがこわい。

今思えばなんて陰な響きなんだろう。
禍々しさ満開だ。

いつもどん欲になにかを探して
いつもなにか刺激や目新しいモノを求めてた理由は

立ち止まることで自分の中の何かが淀んでしまう。
立ち止まることでなにか大きなものに取り込まれてしまう。

そう思いこんでいたからだと思う。

欠けてた部分は大人になり
自然と埋まってきたんだろうか。

そこが満たされることで失った代償はなんなんだろう。

感性ってのは衰えて失っていくモノなのか。
それとも年を重ねるごとに育まれるモノなんだろうか。

後者であることを願いたい。

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Title: 夏におきた事件の話 完結編
2005.06.29


その後ひたすらおびえ続けお昼になっても
PHSも家の電話もならなかった。
捕まってしまったT兄弟の電話は朝からつながらない・・・・・

しびれをきらしてH君やY君に電話をするが
みんなもいまだ連絡がないという。

H君に至っては暇なので遊びに行こうと言っている。

さすがに遊びに行く気にはなれず家で悶々としていると
夕方まえにT弟からの着信。

大の字で漫画を読んでいたのだが一瞬で電話に飛びついた。

消え入りそうなT弟の声がした

もしもし

もしもしと返事する時間すらもったいない

おまえ大丈夫か?どうなった?

電波が悪いだけじゃない。
間違いなくT弟の声はとぎれとぎれだった。

大丈夫なわけないだろ。
やっと解放されたよ
いま隠れて電話してるから突然きるかも・・・・・

彼の話によると
その後のいきさつはこうだ。

あの後横道に逃げ込んだT兄弟
走り続けるうちにバラバラになり
兄は無事僕らに合流

T弟はあまりの足の痛さに
逃走を断念・・・・
追いかけてきた警官に腕を捕まれて観念したという。

でもその警官が無線でパトカーを呼ぶのを聞いて
怖くなりその警官を突き飛ばしまたも逃走

このへんの往生際の悪さはぼくらみんなに共通している。

そしてそのままひた走り、近くの小学校に逃げ込んだという。
しばらくそこに隠れていたそうだ。

その茂みの中でとぎれとぎれに警察無線が聞こえたという

「え~こちらOO・・・いまXX小・・・付近です・の帽子・・・茶色の帽子・・・・」

茶色の帽子!?

間違いなく俺をピンポイントで追ってる・・・・

そう思った瞬間にものすごい孤独感と
みんなで決めた取り決めが頭を駆けめぐったという。

同時に記憶の片隅に猛ダッシュで逃げるY君の背中が
スローモーションでよみがえったという。

無線でパトカーを呼ばれ数台のパトカーと
数人の警官が周りをうろうろしている。

もうだめだ。

直感的にそう思ったという。

自分から校門のところまででていって一言

すいませんでした。

茶色の帽子は一応脱いで謝ったという。

自首すれば罪が軽くなると思ったそうだ。

そして今度はしっかりと両脇を抱えられ
パトカーに押し込められたという。

そして警察署に連行

その途中で僕らとすれ違っているのだが
彼は気づかなかったようだ。

そしてここからがT弟にしては根性を見せたところだ。

まず名前を名乗りなさいと言われたらしい。
それには素直に答える。

次に家の住所
それも素直に答える。

次のどこの学校だ?に対して
それだけは勘弁してください。それだけは勘弁してくださいを連呼したという。

それほど僕らは退学をおそれていた。

次に他の仲間の名前は?
知りません。今日会った人たちばかりです。

嘘つけ

本当です

嘘つくな

本当です。

どこで会ったんだ。
え・・・・駅で・・・・

(もっとましな嘘をつけ・・・・)

誰だかいいなさい!

いえません。

なんとT弟ここで一切口を割ることはなかったという。
それのおかげで家に帰るのがだいぶ遅くなったらしい。

(まてよ・・・口を割らなかったのになんで帰れたんだ・・・・)

その疑問はのちに明らかになる。

そして明け方6時過ぎに父親が警察署へお迎え
父親と警官に両脇を固められこっぴどくやられたそうだ。
この話については多くを語らなかったが

一言、おまえらと金輪際つきあうなと言われたよ・・・・

そりゃ言われるだろう。
俺が親でもそういうね。

まちがいない。

ところでどこにいくつもりだったんだ?

ふとお巡りさんに問いかけられ。

皇居です・・・・・

この答えに父親と警察は絶句したという・・・
おまえらそこまでたどり着けなくてよかったな
えらいことになるところだぞ・・・・・

その答えに続いて

最後に家に帰りたければ首謀者の
名前だけでも言いなさいと言われたそうだ。

親父にも警察にもつめよられたそうだ。

これを言わなきゃ帰れない・・・・

一睡もしてない状態で何時間も怒られ続け

この一言を言えば帰れるんだ・・・・・・・・

心の中の悪魔がほほえんだという。

OO君です・・・・・<俺の名前

えっ・・・・・・・・・・うそ・・・・・・・

おれは絶句した。

ごめん!ほんとごめん!
でもさ、その後に絶対にお前に連絡したり、
なにか処分するようなことをしないでくださいと
お願いしてきたから・・・・

じゃそういうことでまたかけるよ。

がちゃ

つーつー

おいおいそういうこととはどういうことだ。
しばらくなにも考えられなかった。

俺の名前は間違いなくブラックリストにのった。
皇居に乗り込もうとした少年集団の首謀者として
このままではテロリストのリストにすらのりかねない・・・・

またブレーカーが落ちた。
2日で2回目の停電だ・・・

しばらく放心状態でいると

H君からの着信

さっそくこの話を聞いたらしい
電話をとるといきなり

おまえ!絶対口割るなよ~

かるく半笑いなのがかんに障る

怒りというか情けなさというか、
いろんな感情が入り乱れていた。

おれはできるだけ冷静に静かに重々しく一言返した。

おまえはほんとに死んだらいいと思う。

そういうと同時に電話を切った。

その後しばらくおびえたネズミのような
電話が鳴るたびにビクビクする日々を過ごすのだが

いまだ今日まで警察署からの電話も出頭命令もない・・・・・・

これが僕らの夏の思い出。

その後この中の何名かは他の理由で学校を去ったり
海外に行ってしまったり、北海道に進学したりと
それぞれがそれぞれの道を歩いている。

いまはなかなかみんなで会う時間もないが
会えばいつもこの話になる。

そんな一夏の思い出の話


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Title: 続・続・夏におきた事件の話
2005.06.28


僕らは遊園地を後にすると
皇居に向かうために意見を出し合った。

タクシーは使えない・・・足がつくと困る。
徒歩では時間がかかりすぎる。

さてどうする・・・・

みんな無い頭をひねり出していると
姿の見えなかったH君が向こうから
これでいこう!とママチャリに乗ってきたのだ。

それどうしたの!

みんなが一斉に聞く

よれよれと自転車をこぎながらH君は一言

落ちてた。

落ちてるわけがない。
人はそれをとめていると言うのだ。

でもなかなかいい案だ。

これなら足がつかないし
追われても逃げられる。

みんなおのおのその辺に止めてある自転車を探しだし
借りて来ることにした。あくまで借りてくるのだ。

必ず返すと心に決めて僕らは自転車に乗り込んだ。

どうしても2台ほど借りることができずに
あぶれたT兄弟は二人乗りをして
僕らはいざ皇居に向かってペダルをこぎ出した。

走りながら妙にパトカーの多いことが気がかりだったのだが
僕らは裏道にはいり意気揚々と皇居にむかって進んでいた。

実はこの時の僕らには知るよしもないことだが
一番はじめにF君の取った行動が確実に僕らを悲劇に向かわせていたのだ。
後に知ったことなのだが、あの時のタクシーの運転手
あの後、警察に駆け込み、被害届をだしていたのだ。
そして僕らの特徴を事細かに警察の方々に報告していたようだ。

管轄の富坂警察署はまだ僕らがその辺にいると踏んでパトロールを強化していたのだ。

その頃、そんなことを知るはずもない僕らはリンダリンダを熱唱中だった。

それからしばらくして裏道で手頃な自転車が落ちているのを発見。
しかし鍵がかかっている。

でもH君どうしてもその自転車が気に入ってしまい
向こうから鈍器のようなものを持ってきて鍵をたたき始めた。

みんなしかたなくその作業を見守った。

深夜の裏通りに鍵をたたく音だけが響く。

その時だ。

向こうからすごい勢いで向かってくる小さな光が2つ

それを一番はじめに発見したのは僕だった。

警察だ!

おもわず叫んだ。

さてここでおさらいをしておこう。
僕らはこの計画のはじめにひとつの取り決めをした。

何があっても仲間を見捨てない。
もし警察ざたになるようなことがあれば
必ず体を張ってお互いを守り
何があっても全員が無事で帰還すること。

そう僕らは固い絆で結ばれていたのだ。

僕が叫んだ瞬間だ。

僕らは蜘蛛の子を散らしたようにちりじりに走り出した。
あのスタートダッシュなら全員が五輪でメダルをねらえる。
小太りのY君はしゃがみ込んでからのスタートだったのだが一瞬でトップに躍り出た。

僕は先頭で逃げ出しそれを茨城出身のY君が追い越した。

鍵を壊していたH君・・・
こともあろうにその辺の自転車をなぎ倒して僕らに続いたのだ。

そしてそのなぎ倒した自転車はなんとその後ろにいた双子のT兄弟を直撃した!

鈍い音と高い悲鳴が響いた。

まさに地獄絵図だ。

僕は振り返ると自転車の直撃をうけた双子のT兄弟の弟の足は
自転車のタイヤの部分にはまっている。

僕らの方に逃げられなかったA君にF君、S君が
横道に走り込んでいるのが確認できた。

向こうからくる警察との距離はもう数メートル
現場には足をタイヤに挟まれたT兄弟の弟と
それを助けようとする兄・・・まさに兄弟愛・・・

警察の手がもうそこまで迫ろうとしたときに
弟の足がタイヤから抜けた!

そして二人は横道に走り込んだのだ。

これのどこに固い絆があったのだろう。
そこにあったのは兄弟愛だけだ。

あの取り決めをしたときに
警察なんかタックルで倒してやると
熱く意気込んでいた茨城出身のY君・・・
素晴らしいスタートダッシュだったよ。

俺ら絶対守りあおうな!と誰よりも目をきらきらさせてたH君
君の自転車はT君を直撃したよ。

T君に自転車が直撃したのを目の前で目の当たりにして
迷わず踵を返し横道に逃げ込んだA君とF君S君・・・

そして警察を発見したときにはもう半身になっていた自分・・・・

完璧なチームワークだ。

この逃走劇でみんなはちりじりになり
どこへ逃げたかもわからない。

とりあえず僕は裏路地から裏路地へ
ひたすら走り続けた。

もうどれくらい走ったかわからない。
こういうときには不思議と息がきれないんだということを初めて知った。

みんながどこにいるのかもわからず
頭の中でこれで捕まったら
いよいよ退学になるなぁなんてことを考えていた。

この後みんながそろうまでにまた一悶着あったのだが
ながくなるので合流したところまで話をとばす。

みんな見事に逃げ切り遊園地の進入ポイントで合流完了
ここは奥まった所にあり座り込んでいると周りからはみえない。

みんな息を切らしながらも
周りを警戒しながら座り込んだ。

みんな酷い顔だ。

疲労と焦燥と不安が入り乱れ
みんな見たこともないような顔をしている。

俗にいうマジ顔だ。

そのときだ。

T兄弟の兄が口を開く・・・・

弟がいない・・・・・

そこでみんな一人足りないのに気づく。

自転車が直撃したT兄弟の弟がいない。
いちばんはしゃいでてひたすら江頭の物まねをしていた
彼だけがいつまでたっても現れない。

30分ほどまっただろうかまだ現れない。
さすがにみんな疲労と眠気のピークだ・・・・

あいつはしゃぎすぎてたからな・・・・
H君が言った。

むちゃくちゃだ。
おまえの自転車が直撃したんだぞ・・・・

兄は頭をかかえている。
一言も口を開かない。

しかしいつまでもここにいてもしょうがない

一人を欠いた7人は一旦僕のうちに避難することにした。

家に向かうために警戒しながら大通りに出た瞬間
僕らの横をパトカーが通り過ぎた。

その瞬間全員が目を疑った。

なんと後部座席に脇を警官に固められたT弟が
泣きそうな顔で座っていたのだ・・・・

みんな声を出す間もなく
パトカーは警察署への坂を上がっていった。

・・・・・・・・・・・・・

みた?

みた。

あいつ白目むいてたぞ・・・

うそつけ!

みんなの顔は顔面蒼白だ。

ああ退学は間違いないな・・・・
みんなが口々に絶望を口にする。

あのときのT兄の顔はわすれられない・・・・
下を向きうなだれてひたすらに

もう終わりだもう終わりだ・・・・

とつぶやいている。

隣のF君

これは夢だ・・・これは夢だ

と自分に言い聞かせている。

みんな軽くあぶない状態だ・・・・

人間は理解しがたい現実に直面すると
それぞれの方法で自分を守ろうとする。

僕はブレーカーが落ちたみたいになにも考えられなかった。

ただ眠りたい・・・それだけだった。

しかしつぎに口を開いたH君の一言でみんなは愕然とした。

ああ腹減った・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

ここまでくると大物だ・・

その後みんなで家につくとさすがに疲労困憊
いつの間にかみんな寝息を立てはじめ
泥のように眠りに落ちた。

その先のことなんて考える余裕もなく
ただひたすら眠った。

明け方になりT兄が僕を起こした。

俺かえるわ・・・・

T兄のPHSには家からの着信が何十件もはいっている。

そのまま無言で家をでたT兄

そしてみんなが目を覚ますと、
朝の事情を説明し詳しい情報が入らぬまま
それぞれ自宅待機という形で僕らは解散した。

こうして「夜の遊園地計画」は幕を閉じたのだった

そう最悪の形で・・・・・

いつ学校から電話が入るか・・・・
いつうちに警察から電話がかかってくるのか・・・・・

おびえるなんてもんじゃない
このときの恐怖はいままで生きてきた中で
このときにしか体験したことがないほどのものだ。

人間は極度の恐怖を感じると全身に力が入らなくなる
グーができない・・・拳に全く力が入らないということをこの時に発見した。

できればそんな発見一生知らずに過ごしたかった・・・・・

長くなったのでこの後の成り行きは次回へ

>>つづく


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Title: 続・続・夏におきた事件の話
2005.06.28


僕らは遊園地を後にすると
皇居に向かうために意見を出し合った。

タクシーは使えない・・・足がつくと困る。
徒歩では時間がかかりすぎる。

さてどうする・・・・

みんな無い頭をひねり出していると
姿の見えなかったH君が向こうから
これでいこう!とママチャリに乗ってきたのだ。

それどうしたの!

みんなが一斉に聞く

よれよれと自転車をこぎながらH君は一言

落ちてた。

落ちてるわけがない。
人はそれをとめていると言うのだ。

でもなかなかいい案だ。

これなら足がつかないし
追われても逃げられる。

みんなおのおのその辺に止めてある自転車を探しだし
借りて来ることにした。あくまで借りてくるのだ。

必ず返すと心に決めて僕らは自転車に乗り込んだ。

どうしても2台ほど借りることができずに
あぶれたT兄弟は二人乗りをして
僕らはいざ皇居に向かってペダルをこぎ出した。

走りながら妙にパトカーの多いことが気がかりだったのだが
僕らは裏道にはいり意気揚々と皇居にむかって進んでいた。

実はこの時の僕らには知るよしもないことだが
一番はじめにF君の取った行動が確実に僕らを悲劇に向かわせていたのだ。
後に知ったことなのだが、あの時のタクシーの運転手
あの後、警察に駆け込み、被害届をだしていたのだ。
そして僕らの特徴を事細かに警察の方々に報告していたようだ。

管轄の富坂警察署はまだ僕らがその辺にいると踏んでパトロールを強化していたのだ。

その頃、そんなことを知るはずもない僕らはリンダリンダを熱唱中だった。

それからしばらくして裏道で手頃な自転車が落ちているのを発見。
しかし鍵がかかっている。

でもH君どうしてもその自転車が気に入ってしまい
向こうから鈍器のようなものを持ってきて鍵をたたき始めた。

みんなしかたなくその作業を見守った。

深夜の裏通りに鍵をたたく音だけが響く。

その時だ。

向こうからすごい勢いで向かってくる小さな光が2つ

それを一番はじめに発見したのは僕だった。

警察だ!

おもわず叫んだ。

さてここでおさらいをしておこう。
僕らはこの計画のはじめにひとつの取り決めをした。

何があっても仲間を見捨てない。
もし警察ざたになるようなことがあれば
必ず体を張ってお互いを守り
何があっても全員が無事で帰還すること。

そう僕らは固い絆で結ばれていたのだ。

僕が叫んだ瞬間だ。

僕らは蜘蛛の子を散らしたようにちりじりに走り出した。
あのスタートダッシュなら全員が五輪でメダルをねらえる。
小太りのY君はしゃがみ込んでからのスタートだったのだが一瞬でトップに躍り出た。

僕は先頭で逃げ出しそれを茨城出身のY君が追い越した。

鍵を壊していたH君・・・
こともあろうにその辺の自転車をなぎ倒して僕らに続いたのだ。

そしてそのなぎ倒した自転車はなんとその後ろにいた双子のT兄弟を直撃した!

鈍い音と高い悲鳴が響いた。

まさに地獄絵図だ。

僕は振り返ると自転車の直撃をうけた双子のT兄弟の弟の足は
自転車のタイヤの部分にはまっている。

僕らの方に逃げられなかったA君にF君、S君が
横道に走り込んでいるのが確認できた。

向こうからくる警察との距離はもう数メートル
現場には足をタイヤに挟まれたT兄弟の弟と
それを助けようとする兄・・・まさに兄弟愛・・・

警察の手がもうそこまで迫ろうとしたときに
弟の足がタイヤから抜けた!

そして二人は横道に走り込んだのだ。

これのどこに固い絆があったのだろう。
そこにあったのは兄弟愛だけだ。

あの取り決めをしたときに
警察なんかタックルで倒してやると
熱く意気込んでいた茨城出身のY君・・・
素晴らしいスタートダッシュだったよ。

俺ら絶対守りあおうな!と誰よりも目をきらきらさせてたH君
君の自転車はT君を直撃したよ。

T君に自転車が直撃したのを目の前で目の当たりにして
迷わず踵を返し横道に逃げ込んだA君とF君S君・・・

そして警察を発見したときにはもう半身になっていた自分・・・・

完璧なチームワークだ。

この逃走劇でみんなはちりじりになり
どこへ逃げたかもわからない。

とりあえず僕は裏路地から裏路地へ
ひたすら走り続けた。

もうどれくらい走ったかわからない。
こういうときには不思議と息がきれないんだということを初めて知った。

みんながどこにいるのかもわからず
頭の中でこれで捕まったら
いよいよ退学になるなぁなんてことを考えていた。

この後みんながそろうまでにまた一悶着あったのだが
ながくなるので合流したところまで話をとばす。

みんな見事に逃げ切り遊園地の進入ポイントで合流完了
ここは奥まった所にあり座り込んでいると周りからはみえない。

みんな息を切らしながらも
周りを警戒しながら座り込んだ。

みんな酷い顔だ。

疲労と焦燥と不安が入り乱れ
みんな見たこともないような顔をしている。

俗にいうマジ顔だ。

そのときだ。

T兄弟の兄が口を開く・・・・

弟がいない・・・・・

そこでみんな一人足りないのに気づく。

自転車が直撃したT兄弟の弟がいない。
いちばんはしゃいでてひたすら江頭の物まねをしていた
彼だけがいつまでたっても現れない。

30分ほどまっただろうかまだ現れない。
さすがにみんな疲労と眠気のピークだ・・・・

あいつはしゃぎすぎてたからな・・・・
H君が言った。

むちゃくちゃだ。
おまえの自転車が直撃したんだぞ・・・・

兄は頭をかかえている。
一言も口を開かない。

しかしいつまでもここにいてもしょうがない

一人を欠いた7人は一旦僕のうちに避難することにした。

家に向かうために警戒しながら大通りに出た瞬間
僕らの横をパトカーが通り過ぎた。

その瞬間全員が目を疑った。

なんと後部座席に脇を警官に固められたT弟が
泣きそうな顔で座っていたのだ・・・・

みんな声を出す間もなく
パトカーは警察署への坂を上がっていった。

・・・・・・・・・・・・・

みた?

みた。

あいつ白目むいてたぞ・・・

うそつけ!

みんなの顔は顔面蒼白だ。

ああ退学は間違いないな・・・・
みんなが口々に絶望を口にする。

あのときのT兄の顔はわすれられない・・・・
下を向きうなだれてひたすらに

もう終わりだもう終わりだ・・・・

とつぶやいている。

隣のF君

これは夢だ・・・これは夢だ

と自分に言い聞かせている。

みんな軽くあぶない状態だ・・・・

人間は理解しがたい現実に直面すると
それぞれの方法で自分を守ろうとする。

僕はブレーカーが落ちたみたいになにも考えられなかった。

ただ眠りたい・・・それだけだった。

しかしつぎに口を開いたH君の一言でみんなは愕然とした。

ああ腹減った・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

ここまでくると大物だ・・

その後みんなで家につくとさすがに疲労困憊
いつの間にかみんな寝息を立てはじめ
泥のように眠りに落ちた。

その先のことなんて考える余裕もなく
ただひたすら眠った。

明け方になりT兄が僕を起こした。

俺かえるわ・・・・

T兄のPHSには家からの着信が何十件もはいっている。

そのまま無言で家をでたT兄

そしてみんなが目を覚ますと、
朝の事情を説明し詳しい情報が入らぬまま
それぞれ自宅待機という形で僕らは解散した。

こうして「夜の遊園地計画」は幕を閉じたのだった

そう最悪の形で・・・・・

いつ学校から電話が入るか・・・・
いつうちに警察から電話がかかってくるのか・・・・・

おびえるなんてもんじゃない
このときの恐怖はいままで生きてきた中で
このときにしか体験したことがないほどのものだ。

人間は極度の恐怖を感じると全身に力が入らなくなる
グーができない・・・拳に全く力が入らないということをこの時に発見した。

できればそんな発見一生知らずに過ごしたかった・・・・・

長くなったのでこの後の成り行きは次回へ

>>つづく


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Title: 続・夏におきた事件の話
2005.06.27


いよいよ僕らは某遊園地に乗り込んだ。
一人ずつ柵を越えと中に入る。

園内に着地した8人は顔を見合わせるものの
誰も口を開こうとしなかった。

みんなの鼻息と自動販売機の低い機械音だけが
妙に耳に焼きついている。

それぞれが緊張と興奮で垂れ流しのアドレナリンに
酔いしれていたように感じる。

人のいないひっそりとした遊園地の静けさが
妙な違和感と不気味さを生み出していた。

昼間、人の多いところほど人がいなくなると不気味な違和感を生み出す。

はじめはみんなきちんと等間隔を守り
おそるおそる群れで行動していたのだが
所詮スタンドプレーの固まりのような集団。
ひとり、またひとりと好き勝手に歩き出す。

「おお!」

そのうち先行していた一人が声をあげた。

真っ暗な中でみんなはその声をたよりにそこへ駆け寄った
ちなみに声をあげたのは例のF君だ。

みんなが行き着くとなんと大きな樽に
蛇口のようなものがついている屋台がおいてあり
そこには大きく「ビアガーデン」と幟が立っている。

そこで得意満面のF君

「みてこれ」

おもむろにその樽の蛇口をひねる。

なんとそこからビールがどんどんでてくる。

僕らは狂喜乱舞した。

フライングして蛇口に飛びついたH君は
はやくも浴びるようにビールを呑んでいる。

この時点で悲劇への激鉄はカチリと音をたてて立てられた。
無論このときの僕らはそんなことに気づくはずもない・・・・

ただでさえバカなのが8人もいて
あびるほどビールを呑んでいるのだ。
もう救いようもない。

でもこのときの光景は今でも焼き付いている。

双子のT兄弟のやりはじめた江頭の物まねが
僕らのつぼにはまりビールを浴びながら
腹がつるほどわらった。

そして浴びるほどビールを飲んでいたH君が
屋台に潜り込みなんと枝豆を見つけてきた。

またも僕らは狂喜乱舞した。

それに負けじとT君も屋台の中からナッツの袋を見つけだす。

そんなことをしながら僕らは
ひたすら笑いつづけた・・・・

そのとき

まだ屋台に潜り込んでいたF君が
今夜はどうもテンションが高かったのだが
その時は頭だけ屋台につっこんだまま
今日一番の奇声を発した。

みんなが振り向くと
もぞもぞと屋台からはい出してきたF君の手には
小さな金庫がぶら下がっていた。。
屋台の売り上げが入ってるのだろうか
かなり重そうだ。

みんな一瞬静まりかえる。
F君金庫を手にしたまま
目をキラキラさせている。

でもこのとき誰一人として
金庫に駆け寄ろうとはしなかった。
みんなのなかでそこには
一線を引いていたんだと思う。

僕は現金というリアルなモノを
いまの夢見心地の中に持ち込みたくないと思った。
なんか一気に夢から覚めちゃうような感覚がした。
少なからずみんなの中にも同じような気持ちがあったんだと思う。

だれからでもなく

おいFそれはもどしとけよ。
それはやめよう。

という声があがった。

でも俺の横で浴びるほどビールを飲んでいた
H君の目は間違いなくキラキラしていた。

それなのに右にならえで
それは・・・まずいよ・・・
と言った声は誰よりも小さかったのが印象的だ。

F君はしぶしぶだがそれをもとにあった場所に戻しにいった。

こんだけやっといてって思うひとがいるかもしれないけど
人のお金を盗むってこととこのとき僕らのやっていることは
まったく別だと思う、どちらも悪いことだと言えばその通りだけど

バカにもバカなりにポリシーはある。

あの頃の僕らはみんな自由を楽しむとは
どういうことかを知っていたんだと思う。

もしあそこであの金庫をあけていたら
この思い出はいつまでも笑いながらはなせる
バカな話にならなったような気がする。

この時この事件があって
ああ自分の友達がこいつらで
ホントによかったなと思ったのを覚えてる。

そしてこの時が「夜の遊園地計画」のピークだったということを
この後になって知ることとなる。

もうほろ酔いなんてもんじゃない状態のバカ8人

そろそろ夜の遊園地に飽き始めたのだが
そんな簡単に今日の火照った体と
高ぶった気持ちが静まるはずがない。

もっとでかいことしたいなぁ
三面記事とかにぎわしたいなぁ・・・・

話はどんどん危険な方向へ向かう。

その時おれの口から飛び出したとんでもない一言が
ついに悲劇の激鉄を落とした。

ここが運命の分かれ道だったのだ。

「そうだ皇居にいこう!」

正直軽いノリだ。半ば冗談も入ってる。

そしたらべろべろに酔っぱらったH君

「天皇陛下に会えるかも!会ったことないし!」と言ったのだ。

バカだ・・・つっこみようもない。
おまえなど間違っても一生お目にかかることはない。

次に口を開いたT君

「いやもう寝てるだろ!」

そういう問題ではない。

そこにいままで黙っていたY君
ちなみに彼は茨城出身だ。

「いくしかね~べぇ!」

やっと口を開いたかと思えば・・・
だいぶ酔っているようだ、鼻息がだいぶ荒い。

この時の理性と冷静な判断力のかけらもない
野放しの野犬状態の僕らを止める術は
いま考えてもひとつも思いつかない。

そして僕らは

そうだ京都へいこう!

のノリで

そうだ皇居へ行こう!

を実行に移してしまったのだ。

今思えば本当にバカだ。
だれも異を唱えなかったのは
この時点で皇居が日本でどれだけ重要な施設であるのか
理解してる奴がだれもいなかったからに他ならない。

>>つづく

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Title: 夏におきた事件の話
2005.06.26


夏におきた事件の話を書くと言ったら
各方面からああ!あの事件ですか。
それともあの事件のこと?

ああそういえばあんな事件もあったね。

その中には覚えてるモノも
覚えてないモノもある。

俺は一体いままで夏に何をしてきてたんだろうか・・・・・

でも俺が一番はじめに思い出すのはいつもあの事件だ。

おれが初めてやった大きな事件かな。

でもまだ時効になってないと困るから大まかに書く。

あれは忘れもしない高校1年の夏

全寮制で育った血気盛んな思春期の少年達は
大抵夏になるとなにかでかいことをしたいとか言い出すもので
例外なく僕らも何かがしたいと口々に言い始めた7月の半ば

毎年夏休みを目前にしてそれぞれいろんな計画を持ち出し
採用されるとそこに向けみんなで動き出すのが常だったのだが
なぜかその年は例年のような無難に夏を過ごそうという計画があがらず
だんだんとみんなのテンションだけがあがっていくのがわかった。

■参考までにそこで挙げられた計画の数々■
夜の丸の内サバイバルゲーム計画
どろけい in 都内
海まで自転車計画
原宿で水鉄砲戦争
などなど

ここには書けないモノもあるけど今思えば
これのどこがでかいことなんだろう・・・・・
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

ここで誰かが宗田治の小説でも持ち出せば
間違いなく僕らは廃工場を探し出し立て籠もっただろう。
七日間ほど。

そこで俺はみんなにかねてより密かに温めていた計画をうち明けた。

それは題して「夜の遊園地計画」

もともとこれを思いついたのはディズニーランドに行ったときに
どこかに隠れてて、閉園後のディズニーランドを走り回ったら
どんなに楽しいだろうと思ったことから始まった。

しかし天下のディズニーランドまではあまりに遠く
しかも事前に計画が立てにくいことから
決行場所を都内某遊園地に置き換え
この計画を熱く友達に話したところ
みんなそれだ!と満場一致で可決された
まぁその中にはびびって当日参加をボイコットした奴もいたが・・・・・

計画の大まかな流れはこうだ。

事前の偵察により深夜人目につかずに忍び込めるポイントが発見されたことから
そこから中に入り当時画期的だった絶叫マシンのコースを歩いたり
中にあるアトラクションを片っ端からのり倒そうと言うものだった。
(無論動いてはいない)

参加予定人数は10人(当日不参加は2名)

そして決行当日

集合してひたすら大音響でブルーハーツを聴きまくり
かるくトランス状態の8人は、

まずはじめに一つの取り決めをした。

何があっても仲間を見捨てない。
もし警察ざたになるようなことがあれば
必ず体を張ってお互いを守り
何があっても全員が無事で帰還すること。

メンバは主にラグビー部、柔道部、サッカー部を中心として大半が体育会系
がたいもよく熱い男がそろっていたのでその取り決めは僕らに安心感を与えた。

近くの駅からその某遊園地に向かって4人ずつ2組
でタクシーにのりその遊園地に向かったのだが
そもそもここで悲劇の引き金に手がかかったのだ。
テンションのあがりすぎた一人バカの行動がのちに
僕らをどん底にたたき落とした。

近くの駅から2台のタクシーにのった4人組2グループのうち
おれの乗ったタクシーは後に現場に到着する方だった。

ドア側から俺、A君 F君 前の座席にH君
到着すると前の座席に座ってたH君は普通に下車
その後ドア側から俺・A君の順でタクシーを降りる
暗黙のうちに代金はF君持ちになるはずだった。

次の瞬間

「釣りはいらねぇ!」

とF君が大声で叫び
僕らを追い抜いて深夜の街にダッシュ
僕らも訳がわからずつられてダッシュ。

そして息をきらせて進入ポイントまで一気に駆け上がり
先に待ってた4人と合流しF君に何がおきたのか聞くと
F君はタクシー代金1800円ほどに対し
50円玉をおいて逃げてきたのだそうだ。

そしてあの一言だ・・・・

今思えばあきれてモノもいえないが
その瞬間間違いなくF君は英雄になった。
きっと彼が人生で一番スポットの当たった瞬間だっただろう。

その英雄的行動をさんざんたたえ合った後

僕らは進入ポイントの柵の前に並んだ。

さぁいよいよ

「夜の遊園地計画の幕開けだ」

>>つづく

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Title: 夏に纏わるはなし
2005.06.24


あついあついあつい。
とにかくあつい・・・・
やっと夏が来たって感じ。

ワンダフルワールドを聴きながら
カルピスを片手に文字を打つ贅沢。

向こうからそうめんに入れるネギを切る音でも聞こえてきたら完璧だ。

そういえばこないだWOWWOWで
「世界の中心で愛を叫ぶ」をやってて何気なく見てたんだけど
少年時代の夏の描写はかなりおれの好きな感じで
あの港町は最高にいい演出をしてたと思う。

理想とする夏像は人それぞれだけど
俺の中での理想の夏像というか
夏に絶対に欠かせないモノは

縁側に風鈴。スイカにそうめん。
カルピスとそこに氷をいれてかき混ぜるときの音。
蚊取り線香に花火をしたときの手に付くソーセージみたいな火薬の臭い
そしてひたすらかゆい右腕の外側を左手でぼりぼりかくこと

この時期、街で最高ですかぁ~?と聴かれたら
おれは無条件に最高です~!!と言う。

夏になると思い出すモノ。

■映画部門■

いつだったか夏の午後に何気なく見た映画なんだけど
「サラーム・ボンベイ」というインドの映画で
なんか重くて暗くてたんたんとした映画なんだけど
なぜか暑い日の午後にはこの映画を思い出す。
ちょうど見終わったのが2時ぐらいだと
なんとなく外堀を散歩したくなるんだこれが。

それとどうしても忘れられないのがなんか
ガンダムと書くといまはマニアックだと思われるかもしれないが
おれはガンダム世代なんだ!と前置きをした後で。
小学校の時に忘れもしない萩原君に借りたガンダムの映画で
「ポケットの中の戦争」というガンダムの映画
これを見た小学校時代のおれは夏休みの昼下がりに号泣した。
親がガンダムをみて号泣するおれをみて
なにがなんだかわからないといった様子だったのも印象的だ。

そして「グランブルー」
この映画を初めて見たのも夏だったと思う。
千歳烏山の小さなワンルームでカルピス飲みながら
グランブルーをみてひたすらイルカの本を読んだり
必死になって自由を満喫しようとしてた頃を思い出す。
あの頃ジャックマイヨールは俺の中の一番だった。

■書籍部門■

間違いなくこの時期に思い出すのは
鷺沢萌だ。中でもやっぱり
「少年たちの終わらない夏」
その中にでてくるアイダって名前と
「ハングルース」にでてくるユニって名前はすごく印象に残ってて
夏の名前の代名詞って感じがする。

夏に鷺沢萌を読むと夕方から繁華街にでたくなる。

そして「ヴァージニアウルフ短編集」
これも夏になると読み返したくなる。
文章自体の雰囲気は夏って感じじゃないし
どちらかというと爽やかというよりは
全体的にもやもやとくぐもったような印象なんだけど
初めてこれを読んだ時はなんか色々と考えさせられた。
このとき初めて短編小説っておもいろいなって思ったのを今でも覚えてる。

彼女が短編小説をショートストーリーとは呼ばずに
スケッチと呼ぶのを好んだってのがなんかすごく共感できる。

最後にいまふと思い出した「クオレ」
小学校の時の読書感想文を書くために読んだ本
日記形式だったような気がするんだけど内容をはっきり思い出せない。
ただハードカバーで上下でめちゃくちゃ分厚い辞書みたいな印象がある。
でもおもしろくて一気に読み終えた記憶がある。
昔から読書感想文は好きだった。
ドリルの枚数だけ書くから宿題をすべて
読書感想文にしてほしいと思うくらい。

付則だけど夏休みの宿題のドリルってのはほんとに嫌い
あれが原因で親子の縁を切るというくらいの大げんかをしたのを覚えてるけど
ドリルって・・・・そもそもなんだそのネーミング・・・・

話がそれたけどあの頃読んだモノって俺の中で結構残ってるんだよね

夏目漱石や太宰治もあの頃に好きになった。

■場所部門■

夏といえば御宿の海
友達の別荘があって毎年何気なくいってた御宿
とにかく夏の思春期の少年たちの
夢の詰まった場所であったことは間違いない

最近は知らないけど熱海とか伊豆の旅館のような
少し廃れたようなあの海の家が最高にいい感じだった。

ある年に御宿に向かう電車の中で
おばあちゃんと二人で座っていて
大網で降りるといっていっていた
当時中学生のすごくきれいな女の子は

いまどこで何をしてるんだろう。

冷凍みかんをくれたおばあちゃんは元気にしてるんだろうか。

そして夏と言えばやっぱプール
今は無き流れるプールアルトピア(千葉県常磐平)
は夏の代名詞だったな。

毎年隅田川の花火大会をみてた土手

夏に纏わる場所なんてきりがないほどでてくる。

こう考えると夏の出来事はおれののちに
関わる要素になってるモノが多い
夏は一番自分が素になれる気がする。
長くなってきたので、
■夏におきた事件の話■
は次回に書くことにする。

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Title: ここ数日のおれ
2005.06.14


とにかくここ数日は中身の濃い数日だった

■金曜日■ 

高校の友達と飲みに行く。
渋谷のLifeupという店、ここかなりおすすめ!
料理も酒もうまいし店の雰囲気がおもしろい。
その後ほろ酔い気分で高校の時通ってた塾へよると塾長の先生がいて、
おれは塾では問題児ではあったけど
先生とあまりかかわりを持たないようにしてたので
覚えられてるはずもないとおもってたら、

「おっ吉岡。なんか顔がきりっとしたなぁ。たしか京都いってたんだよな」

おれを覚えてる人がいたってのがなんか普通に嬉しかった。

そんないい気分もつかの間
終電の電車でドアが開いたので乗ろうとしたら
まさにドアのところにだれかが嘔吐した痕跡が・・・・
なにもこんなドアのところで吐かなくても・・・

踏んじゃうだろーが!

■土曜日■

この日は元々接待ゴルフに行く予定があったのだが
先方の予定で急に中止になり仕方なく通常勤務に・・・
そんなときにタイミングよく高校の友達から電話があり
夕方から新宿に行くことに。

男四人新宿ですよ。
さぁ何するか!って話しになって
みんなで迷わずバッティングセンターへいく。
いい汗かいた。
その後卓球~ビリヤード~ダーツとひたすら体を動かしまくり
男四人歌舞伎町で至って健全。
こうやってただおもいっきり遊ぶってのはやっぱおもしろい。

そしてまたも終電で帰ろうと新宿へむかうとあり得ない人の数・・・
切符買うのに汗だくで並んでホームにも人があふれかえってる・・・

ここはインドか!

でも今日一番印象に残ってるのは数少ない結婚した友達の
一ヶ月のお小遣いが2万円だということと
残業から帰ったら家で奥さんに冷蔵庫が小さい!
と切れられたこと。

かわいそうだなおまえ・・・・

■日曜■

なんと今日は朝からラグビーの試合。
3年ぶりに本気で動かす体で試合出場!

前の日まではどうなることかと心配してたんだけど
これが動けるんだ不思議と、
試合には負けたけどトライ5本中3本を決める大活躍。
その後バーベキュー。

炎天下の中で久々に動きまくりくたくただけどかなり楽しかった。
やばいなやっぱラグビーは楽しい。

おれまだまだいけんじゃん!


しかも家に帰って体重計にのったら朝から2キロも
落ちてダイエットにもなるし楽しいし最高・・・と大満足。

こんな感じの三日間。

正直体はもうくたくたです。
でも精神的エネルギーは満タンです。

それとここ三日間毎日電車に乗ったんだけど、
いいね電車。とかいうと毎日通勤電車でうんざりしてる人には怒られそうだけど。
電車なら昼間から呑んでもだれにもなんにも言われないし
気兼ねなく呑める。
しかもなによりもいろんな人がいるのがおもしろい。

電車に乗ってる時ってほとんどの人は
それぞれ自分の世界に入ってるんだけど
おれはそれを見るのが楽しいわけよ。
完全に自分の世界に入ってる人を
人間観察するといろんな発見がある。
でもごくたまにおれと同じ事をしてる人がいて、
こないだもいつものようにあたりを見回してると
おれと同じ事をしてる女の人がいて目があった。

ごくたまにそういう自分の世界に入らず列車の中にとけ込んでない人がいることを発見。

そんなここ数日。
そして今体中がぎしぎしときしんでる・・・・

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Title: 日本ではないどこか
2005.06.09


静かな海・・・・
空は雲で覆われてるんだけどうっすら明るい
小さな海岸で向こう側は高い岩場になってる。
時間はわからない。
明け方かもしれないし昼下がりのようにも感じる。
とにかく静かな海で
波の音が聞こえて

そこで誰かわからないけど隣にいる
紺色のパーカーを着ている女の子と
このあいだ読んだ本の話をしたり
仕事の話をしたりしてると
その子がなにか食べたいっていって
歩き始めると浜辺にカフェがある。
誰もいないのにデッキに座ると
机の上にちゃんとバケットに挟まれたサンドイッチがある。
そこで静かに海を見ながらサンドイッチを食べる。
その時顔にあたった風が冷たかった。

その子はなんか他人じゃないような感じなんだけど
でもすごく遠い存在にも感じる。

でも顔がでてこない。

そこで目が覚めた。

目が覚めてあまりにもはっきりといまの情景を覚えてて・・・
一瞬あれって。
きっと旅先の宿で寝たのに朝起きたら家にいたらこんな感覚になるんだと思う。

昔から夢はよく覚えてるほうなんだけど
こんなにはっきり覚えてたのは久しぶりだ。

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Title: WC出場おめでとう!
2005.06.08


まずはじめに。
日本WC出場一番乗り!
お~にっぽん~にっぽん~にっぽん!

ってなわけで。我が家ではサッカー観戦の時には
ケンタッキーとビールと決まってるので今日も例外なく
その掟に従いサッカー観戦しました。

サッカーの内容のことを書き始めると
つらつらとくだを巻く親父になるので
やめておきます。

そして昨日から読書月間のスタート。
山積みになっていた仕事も終わり
しばらくなにもやることがない。
2ヶ月ほど提出する書類もなにもない。

まぁちまちまとした仕事と行事はあるが
一年で一番中だるみな時期なので
本を読みあさることに決めた。
今日は2回目のプロ論を読破
これはかなり熱い。是非おすすめできる。

さてなにを読もうか。とりあえずはたまっている
岡本太郎の文庫本3冊
教育関係の重そうな本1冊
それに五木寛之1冊
これ当面の目標


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Title: 一流の客
2005.06.06


今日おもしろい話を聞いた。

某ホテルで会食をしたときの話

8時~9時で予約をしていたところ
仕事が押してしまい到着したのが8時半
お店に着き遅れて申し訳ないというと
ホテルの人は笑顔で大丈夫です
ごゆっくりおくつろぎ下さいと
言ってくれたという。

そしてフルコースの料理が運ばれてきてくつろぐこと1時間。
予約の時間はとうに過ぎている。
しかしその人は最後にもう一杯ワインが飲みたくて
無理を承知で申し訳ないけれどワインをいただけますかというと。

お店の人は何も言わずにデキャンタでワインを持ってきたという。

この無言の心配りに感動して。

その人は満足して帰ったという。

その後その話を友達に話をしたところ
その友達はこういったという。

「おまえ、それでどうしたんだ?」

「いや満足して帰ってきたよ。」

「その人の名前覚えてるか」

「いやそこまでは覚えてない」

「おまえそれじゃただの客だ、
なんの為に胸に名札つけてると思ってるんだ
彼らはサービスを売りにしているんだから
それに答えられないようじゃ客としておまえは一流じゃないな」

と言われたという。

この場合。
マネージャや目上の人間に接客してくれた人の名前とお礼を伝える。
料理に感動すれば料理長を呼ばないまでも一言作ってくれた人にお礼を伝えてもらう。

やりすぎかと思うかもしれないし気取ってると思うかもしれない。
そう思うことがそもそも間違いでよくよく考えれば当たり前のことなのだ。

満足したのでお礼を言う。当然でしょう。

そういう客のマナーが一流のサービスを生み一流の料理を生み出すんだ。

一流の客とは一流のサービスに満足するだけでなく
サービスも料理も次につなげてそのお店自体の品位を
高めさせてくれる客のことだ。

もしお客さんがみんな一流のサービスを受けて
料理を食べてもなにも言わずに無言ででていったら
モチベーションだって下がるのは当然だ。

客層が悪けりゃサービスも落ちるさ。

ましてやおれは客だ!
金払ってるんだからもてなされて当然と思ってるようじゃ
まだまだ一流のサービスを受けるにふさわしくない客だということだ。

まぁ中には一流だとふんぞり返って名前だけの店もある。
そういう店には決していい客は集まらないと思う。

本当に品格のある店は客を選ぶと言うが
それはつまりよりよいサービスを提供し続け
サービスを磨き続けるためには必要なのかもしれない。

これは高級料理店に限ったことじゃない
街の定食屋でもなんでもそうだけど
とくにいまは当たり前のことができない人が多いと思う。
ごちそうさまを言わずにでていく人を見るとそう思う。

いい客に支えられてる店はほんの小さな心遣いができるもんだ。
ほんの小さな心遣いのできる店にはいい客が集まるものだ。

それがいい循環を生む。

なんでもそうだ。人と関わるとはそういうことだ。

おれもこれからは一流の客を目指そう。

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Title: 思考の劇的変化
2005.06.02


いままで人生というものは、というよりも自分らしく生きるということは
自分の上に何かを積んでいくことが大切だと思ってた。
自分の目や耳や頭で感じたことをどんどん積み上げて
そうして自分を確たるモノにしていくんだとそうおもってた。

でも実はそれは大きな勘違いなんじゃないかと思い始めた。

ここ二、三日そんなことばかりを考えてる。

実は人生は自分の上に乗っかっているモノを
積むんじゃなくておろすことが大切なんじゃないだろうか。

いやがおうにも自分の上にはいろんなものが積まれてくる
自分でなにもしなくて、ほおっておいても自分の上には
どんどんいろんなものが積まれていくんだ。
目で見たモノ、耳で聞いたこと、頭で考えたこととか
肩書きとか。しがらみとか。安心とか。幸せとか。
ここには書ききれないくらいのいろんなもんが・・・・・・

知らず知らずにのっかってくる箱みたいなもんだ。

生きてる限り息をしてるのと同じで一つまた一つと
自分のうえになにかが積み上げられていく。

そういうものに経験だとか自分らしさだとか、プライドだとか
ましてやアイデンティティだなんて名前をつけてみんな自分の上にのせている。
そしてさも自分で積み上げたみたいな顔をする。
ほっておいてもその箱はどんどん高くなっていくんじゃないかな。

でもそうやって自分の上にのっかったモノ。
正確には自分で積み上げたと思ってるモノを
勘違いして大事なものだと思いこんでしょいこみすぎると
そんなものに埋もれて。どうしょもなくなって
行き詰まって結局はいつか自分自身が自分自身の
重みにたえられなくなる気がする。

でもそれを意識的におろそうとすると
その箱には大きく

「自分らしさ」

「幸せ」

「プライド」

「安心」

「責任」

「家族」

「恋人」

「見栄」

「過去の栄光」

って書いてあるんだ。これは大事だ。
これはしまっておかなくちゃって思うような
魅力的な言葉やこれは捨てたくてもすてられない言葉が
たくさん書いてある。

おろせない・・・・って思うような荷札でいっぱいだ

いきなり全部じゃなくてもいい、そのなかから
なにかを意識的に捨てていくことが大切だと思う。
ようはたくさん積んであることじゃなくて
のっかってる箱が少ないことがとらわれないで生きるってことであり
自分らしく生きるてることじゃないだろうか
てことが言いたい。

一見難しそうだけど多かれ少なかれみんながつぶれずにいるのは
きっと誰でもなにかに躓いたり壁にぶち当たった時に
思い悩み苦しむ中できっと多少なり箱をおろす作業をしてるからだと思う。
どの箱かは人それぞれだけどきっとなにかを無意識におろしたり。こぼしたりして
バランスをとるんだと思う
だからきっとまた歩き出せてるんだと思う。

時に中にはそれを意地でも手放さない、手放せない人もいる。
どっかの箱がとんでもなく大きくて重いのに
耐えて耐えてこぼさずにおとさず
おろせないのか・・・・おろさないのか・・・・
最後まで箱をおろさずに落とさずに
積み上げ続けてもうどこにも飽和できなくなって
自ら選んでその箱の下敷きになる人がいる。

三島由紀夫も川端康成も
太宰治もゴッホもヘミングウェイも・・・・

そういう生き方もある。

抱えた荷物を極限まで増やすか、極限までへらすか。
多くの人はバランスとって、多すぎず少なすぎずで生きてるんだと思う。

いままでむき出しの自分でいるってことは裸で抜き身の刀の中を歩くようなもんだと
思ってたけどきっとそうじゃない。きっとむき出しの自分には敵なんてできないんだ。

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Title: ココロノカタチ
2005.06.01


最近このサイトだけでなく
いろんなところで文章を書く機会がある。

そんなときにふと気づくと
文章をかいていて違和感を感じるときがある。

どこが。というんじゃなくてふとした違和感だ。

なんか違う。なにかがずれてる。

完成してみてなにか違和感を感じるんだけど
なんど読み直してもどこをなおしていいかわかんないとき。

はじめはそれがなんでだかわかんなかったんだけど

ある時そういうときは大抵活字と気持ちとのバランスがうまく取れてない
ってことに気づいた。

活字だけが先行したり気持ちだけが前にですぎてる時だ。

時にはぐちゃぐちゃの心の中を
書くことで強引にまとめる場合もあるけど

大抵その瞬間の自分を冷静に見つめないとしっくりくる文章は書けない。

締め切りに追われたり著しく心が乱れてたり
どこかで書かなきゃって思ってるとそれはそのまま文章にでる。

活字は正直だ。

違和感を抱えたままの文章を残してしまうと
いつも後から反省する。

まだまだ精進がたりないな。

日々精進 日々邁進

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  • 自己紹介:1980年1月9日生まれ。どこからを趣味と呼んでいいのかは模索中。好奇心は旺盛。