Title: 口蹄疫。
2010.05.28

最近ニュースで取り上げられていますが、宮崎県で、口蹄疫という感染病が広がり、何万頭という牛や豚が殺処分にされているそうです。

それを取材したとある番組の中で、宮崎県の畜産農家の人がインタビューでこう答えていました。

「殺処分に際して、いずれに肉になるんだといえども、手塩にかけて育てた子が、違う形で殺されてしまうのは苦しい、せめてお腹いっぱいにしていかせてあげたい」

それを聞いて、どういう形であれ、やはり命にじかに手が触れる仕事をしている人たちの言葉というのは、重くて響くなと思いました。

そしていろいろな報道の中で、各分野の各コメンテーターや政治家の方々が口々に議論を交わしていました。

口蹄疫がこれ以上広がるのは、宮崎の畜産業界の未来ひいては国益に関わることだから殺処分はやむなしとか、人間に感染することなく食べても問題ないのにそこまで大げさにする必要があるのかとか、国の対応は正しかったとか悪かったとか。

それを聞いていて、そういう話はとても大切なことで、保証も含め国がそういう体制をしっかりと築いていくことは不可欠なことだと思います。

しかし、そこだけにスポットをあててしまうのではなく、そこに生きる人や、現場でじかに命に手を触れている人たちの気持ちにしっかりと寄添っていくということもとても大切なことだと感じます。現場で命に触れている人たちの気持ちになれば、きっとなにが正しくて何が間違ってるかとか、それが正論かとか、感情的だとか理論的だとかそういうことじゃなくて。

ただ悲しいのだと思います。

命に触れてると、理屈じゃなくてただ悲しいしただ嬉しいし、

ただただなんだと思います。

ただ悲しい。

このただ湧いてくる感情に寄り添うことができて初めて何かを慈しむ気持ちや、なにかを愛でる気持ちというものに気づかされるのかもしれないと思います。

側面的な理屈でばかり物事を考えているとつい見失いがちな部分なのかもしれないと、自分自身、宮崎県の畜産農家の方の言葉に気づかされた気がしました。

最後人を支えるのも、心を動かすものも、理屈ではないなにかなのかもしれません。

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  • 1980年1月9日生まれ。どこからを趣味と呼んでいいのかは模索中。好奇心は旺盛。